総合型選抜の回想(生命理工学院)【ばみや の場合】

こんにちは、iGEM TokyoTechのばみやです。冷え込んでいた日々にも漸く終止符が見え始めてきましたね。この頃合になると、2年前の受験の記憶がぼんやり蘇ってきます。今回は、そんな記憶を頼りに弊学の総合型選抜の受験記録について認めてゆきたいと思います。

はじめに

弊学にはざっくり分けて入試方式が3つほどございまして、それぞれ一般入試、推薦入試、総合型選抜といったものです(名前あってるかな?)。一般入試は所謂「普通の」入試で、国立大学の前期日程にて行われるものです。推薦入試は理学院のみに設置されている方式なのですが、あまり詳しくないのでここでは割愛します。理学院以外の全学院に設置されており、それぞれの学院で出題内容が全く異なる、といったものが総合型選抜で、私も2年前この方式で合格致しました。今回はそんな総合型選抜の入試について少し思い出話をば。
まず、弊学の一般入試はどの学院も試験科目、内容が全く同じで、英数物化といったラインナップとなっております。即ち、「生命理工学院」と銘打っている学院ですら生物を試験科目として使用することが認められていないんですね。高校時代から生物が得意で、進路選択の際に生物をピックした諸君はまず門前払いを受けます。あらら哀れ。
しかし、それは一般入試に限った時の話。生命理工学院の総合型選抜の試験科目は、「生物」と「面接」のみ。しかも推薦等とは違い内申点や学校からのなんたらといったものは一切不要で、現役/浪人も問いません。なので東工大進学を視野に入れている生物選択者の皆々様はこの入試を利用することになるわけですね。逆に言うと、1000人以上いる一学年のうち、生物選択者は生命理工学院総合型選抜の定員である15人しか居ないわけです。そうなるとどうなるか……について述べるのは長くなりますので後の機会に取っておきましょうか。
兎にも角にも、浪人中に東工大進学の機運が降りてきた私はこの入試方式で出願した、という訳です。

確実な確執

受験校をセレクトする際、自身の希望を阻むものってありますよね。人によっては親だったり、学校だったりすると思います。私の場合は予備校でした。
1年で15人しか合格者のいない入試方式に向けて全力で対策する人はあまりいないと思います。実際、生命理工学院の総合型選抜合格者は基本的に生物で受験できる大学を本命に据え、東工大は受かったらラッキー程度のマインドで臨んでいたという印象があります。
で、大抵の予備校のシステムはというと、志望校別のコースに所属し、そこで1年間志望校の対策をするといったものが多いです。あくまで私の受けた印象ですが、その志望校に対して思い入れの強い人が多く、学びたい分野で選ぶというよりはその大学で受かりそうな学部のうち一番偏差値の高い学部を受ける、という人が結構な数を占めていて、担任や講師からもそれを後押しする空気を感じていました(人気のない特定の学部学科を名指しで馬鹿にしたりとかね、傲慢甚だしいなあと)。
その中で「特に対策してないけど東工大受けたい!」と担任に告げるとどうなるか。そうですね、勿論反対されます。なんなら、「総合型選抜受けるなら東工大じゃなくて君の志望校にしいや〜」みたいな感じで元の志望と全然違う学部学科の入試を提示してきました。それを跳ね除けていると、自然と「自分のやりたい研究ができる所なら何処でもいい私」 vs. 「どうしてもコース通りの大学を受けさせたい担任」といった構図が出来上がっていましたね。結局折れてくれたからいいですが。もし同様の経験をした際は無視するか、他の人に相談してください。私は現代文の講師に志願理由書の添削をしてもらいつつ相談し、後押ししてもらっていました。中々賛同が得られない場合はその場で後悔のない方を選んでください。くれぐれも。
あと、志願理由書については誰かに添削を頼むのがベストですが、筋道立てられた文章で自分の志望動機をちゃんと表せられていれば十分かなと思います。そんなにゴージャスな文を書き上げる必要は無いと思いますので、思いの丈を素直に綴り、最低限の推敲をしていれば十分かなと思います。

解答用紙を捲るとそこは

共通テストもそれなりの点を取り、一次選抜通過を確認した頃、私は緊張で固まっていました。何せ一次合格者発表から本命の二次試験まで1週間程度しかありません。もう何もできることはないのに緊張による不眠が続いておりました。
その中でも探せばやれる事は見つかるもので、ホームページに過去問が載っているのを発見しました。見たところ、一般的な生物の筆記試験といった感じだったので、特別対策はいらないなぁと感じ、代わりに緊張に身を震わす時間に充てていました。やめようね。
そんなどうしようもない状態でも時間は過ぎてゆき、最低限の過去問や面接のマナーを確認しているうちに受験日当日となっていました。寝不足でフラフラな体に鞭を打って迎えた当日、まずは筆記試験からです。過去問を思い出しつつ、配られる解答用紙に目をやると、見間違いでなければまっさらな原稿用紙が連なっていました。嫌な予感がしつつ、問題用紙を捲ると、そこにはたった4つの問題が記されているのみでした。
たとえ気休め程度でも、立てた対策が崩れ落ちてゆくというのはショックなもので、動揺しながら埋められるところを埋めてゆきました。しかし、そんな精神状態なもんで解答用紙は誤字脱字の大名行列となってていました。あまりにも数が多いので書き直すことも考えましたが、400字とか800字の解答を消して書き直すのは時間が無いので挿入記号を駆使し見るに堪えない答案を作り出しました。後で開示を見ると、点数的にも恐らく採点はされているのでもし同じ状況になりましたら落ち着いて対処してください。くれぐれも全消しとかはしなくて大丈夫です
試験問題については正直あまり覚えてません。「ワクチン以外のコロナ対策薬を作れ」という問題で体内のAce2を全滅させる謎の薬剤を作り出した記憶だけらありますが。めちゃくちゃな内容でも全部埋めはしたので終わった後にやたらと達成感を感じたのは覚えてます。

トップオブザヘッド

筆記試験の後は面接があるのですが、受験番号が後ろだったせいもあり3,4時間くらい待たされました。緊張の糸が1本切れた私は、周りで他の受験生が読み物を読んで勉強してる中ひとり爆睡していた記憶があります。待機室にいた人にめちゃくちゃ睨まれましたが、まあ何も違反していないのは確認したので心地良ささえ感じておりました。
気持ちよく休憩している中、やたら声を出して安眠を妨害してくる不届き者が居たので目をやるとどうやら私の面接の順番のようです。慌てて教室を出るとすぐ面接室に通されました。緊張する間もなく面接が始まり、自己紹介を促されます。 当時にして19年ほど人生を舐めてきた私ですが、同時に心配性でもあるので、志望動機ややりたい研究等の「よくある質問」に対しては事前に明確な回答を練り上げ、諳んじられる程度には練習しました。これから受験を控えてる諸君も同様かと思われます。
しかし、自己紹介の際に「東京工業大学生命理工学院」を「東京工業学院」と言い間違えたことを皮切りに、用意したものが全部消え去ってしまいました。こんなことよくある話だとは思いますがいざ自分の身に起こると本当にパニックになってしまいます。それから「大学の志望動機」「研究以外でやりたいこと」等色々なことを聞かれましたが、殆ど即興で答えることとなってしまいました。ですが、志願理由書と矛盾せず、本心の限りを伝えれば面接官の方々も汲み取ってくれるものだなと思いました。また、些末なマナーや言葉遣い、言い直しを過度に気にしてパフォーマンスが落ちるならそれもやめた方がいいのかなと思います。麗しい私は面接の中で「私」「僕」「自分」と一人称が3回ほど変わりましたが特に何も言われませんでした。まあn=1なので断言は出来ませんが。
加えて、口頭試問のような問いが多かったなという印象を受けました。「遺伝子組み換えとゲノム編集の違い」や「体細胞分裂と減数分裂の違い」といったような基本的な質問に留まりますが、いざ口頭で順序立てて説明しようとすると意外と難しいです。実際、私は体細胞分裂と減数分裂の違いを説明するのに7回ほど言い直しました。当時の面接官の方々、お付き合いいただきありがとうございました。受験生の皆様、受け答えは落ち着いて臨みましょう。

さいごに

と、まあ記憶に残っているものはこのくらいです。「大学で研究以外でやりたいことは何か」という質問に「iGEMです!」と元気に答えた私ですが、未だに細々と活動を続けております。これを読まれているのは受験生の皆様でしょうか。他のiGEMチームの方々でしょうか。それともたまたまこの記事が目に付いただけの、東工大ともiGEMとも接点のない諸君でしょうか。いずれにせよ、弊学、弊団体、そして私とそう遠くない位置の方であると思います。iGEMのイベントや東工大で、願わくば春の新歓にて私の記事を読んだ方とお会いできることを楽しみにしております。
ではこの辺で。

グッドラック。