人生舐め太郎が辛酸を嘗めた話

この投稿は,iGEM・Synthetic biology(合成生物学)・Japan Advent Calendar 2022の6日目です.

はじめに

はじめまして。iGEM TokyoTech いろいろ担当のばみやです。昨年度はHuman Practice周りの担当をしておりました。

参加チームも増え、新たにiGEMへと参戦する方々と対面で会うことも許されるようになってきた時世の潮流の中でiGEM Japan Communityの盛り上がりを肌で感じることが出来るようになってきました。大変喜ばしいことと思います。 しかし、新規参入するということは、それすなわちノウハウが不足しているというもの。これは結構な障壁でして、参入したいが不安で踏ん切りがつかない……という方もいることかと思います。かく言う我々も最古参組なくせしてノウハウの不足している中、暗中模索といった風にプロジェクトを進めておりました。そこで、昨年度得た経験の中で、所謂後悔、反省点といったものの類をここに書き留めておこうと思い立ち、こうして筆を握るに至りました。経験やノウハウの差を埋めるには情報を共有するのが一番の近道ですし、何より明文化しておけば後々自分で嘗める用の肝をしても使えますし。

この愚者が経験として痛感したことを、賢者の諸君は歴史として学び、再現することのないよう活用していただければ望外の喜びでございます。

Human Practiceとは

基本的にどこのチームもそうですが、役割は細分化され、それが役職となって おります。冒頭でもお伝えしました通り、私は昨年度Human Practice周りの担当をしておりました。このHuman Practiceという部分、字面からは何をするのかという具体的な想像がつきにくい(私はね)一方で、実は超重要な役割を担っております。

当Advent Calendarでも書かれる方はいらっしゃると思いますが、所謂Wet、DryといったパートはiGEMの花形とでもいいましょうか、わかりやすく「iGEM」していますよね。そこに惹かれて参加する方は多いかと思いますし、実際私も入った動機はWet分野への興味でした。それらのパートを「計画を遂行する」役割だとすると、Human Practiceは「成すべきを見出す」役割を担っております。

iGEMのプロジェクトを遂行するにあたって、多くの時間と大量の金銭が必要になることは避けられません。そのようにするからには、どうしても需要のあるプロジェクトを立ち上げたいですし、途中で頓挫しては元も子もないので実現可能性も検討すべきです。ざっくり申し上げますと、この部分を担っているのがHuman Practiceというわけです。具体的には、外部の専門家にインタビューをお願いし、そこで実現可能性や新たなプランを検討する、またそのプロジェクトの成果のエンドユーザーとなり得る方々にインタビューを行い、本プロジェクトがどのように目に映るか、といったことを調査することが仕事です。ここが揺るぐとプロジェクトの存続が危ぶまれる、という部分なので、まさに根幹といった感じですね。そこにWet等が合わさって、Jamboreeという大一番に向けて年単位の時間を費やすわけです。

では、私が1年間 Human Practiceを担当し、どのような後悔や反省を覚えたか。早速触れていきましょう。

反省(組織編)

勿論個人としての反省もかなりあるのですが、これまでのiGEM TokyoTechという団体のHuman Practice像に対する批判を最初に行っていこうと思います。団体の方向性と個人の思惑、熱量がかみ合って初めてプロジェクトがうまく回るのかなと思いますし、何より所属団体の批判をするにもってこいの機会なので。

一言で申し上げますと、Human Practiceがどんなもので、なにをするのかという理解が著しく欠如していたように思います。役職を決める際に半ば余り物処理のような形で担当することとなり、Human Practiceがどんな役職か先輩に尋ねても「うーん、まあwikiとか書くんじゃない?」といったような地獄みたいな会話が繰り広げられていました。今思い返すとあまりの杜撰さに椅子から転げ落ちそうになりますね。しかもHuman Practice担当は私含めて2人のみ。結構面白いですね。当時はWetが一番の主役で、Human Practice尻拭いのような位置付けでした。実際、Human Practiceの仕事として見えていた部分はなけなしの理科教育と、取ってつけたようなwiki freeze直前のインタビューのみという、まあ枝葉の部分のみといった感じですね。今思い返すと、本質が誰一人として見えていない状態でよくもまあプロジェクトを進めようと思ったなと震えが止まらなくなります。こんな様子で、代替わりして暫くは新入生の教育係に配属されました。2人で。

こんな忠告をするのも情けないですが、Human Practiceに基づいたプロジェクト作りを心がけましょう。というより、各部門、役職のなすべきこととプロジェクトの完走に必要なことは随時すり合わせながら歩みを進めていきましょう

あとはこちらも根本的な原因になっているので忠告しますが、行った内容だけでなく、その目的も随時書き留め、共有することをお勧めします。例えばインタビュー一つ取り上げても、目的の共有、記録がなければ「あー、なんかインタビューやってるなあ」程度の認識の人は多くなってしまいますし、wikiを執筆する際に齟齬が起こりやすくなります。何よりノウハウの引継ぎがひょんなことでゼロになってしまいます(体験談)。同じ轍は踏まぬよう心からお祈りいたします。

反省(個人編)

では本題となる私個人の反省の移っていこうと思うのですが、その前に少し身の上話をば。

私自身、失敗の少ない人生を送っていました。いや、正確には沢山してますね。中学受験でも大学受験でも第一志望に落ち、種々の大会でも渋い成績を重ねてきました。ですが、いずれも結果オーライかなと思えるところに流れ着いてきたので、なんか成功したような後味に包まれ続けてきました。結果、「成功を収め続けるだけの実力もないが常に成功していると思い込み、さらに散々失敗してるくせして後悔したことがないため失敗も恐れない化け物」が完成したわけです。これがいい感じに嚙み合い、チームに最悪な形で作用しました。

まず、私のこれまでの失敗の原因の多くは自身の怠惰さによるものです。入試も大会も日程が前々から決まっているにも関わらず、それに向けて計画的に努力することが出来なかったことに起因しているのかなと思います。相手がiGEMであろうとその性分が発動し、Jamboreeが近づいてきても不思議と焦りはありませんでした。

ただ、21年間の経験上、そんなことになるだろうなとは(悲しいことに)予想しておりました。Wikiの締切が迫る中、計画的に努力できなくとも直前になって急いで詰め込むことに関しては(悲しいことに)経験豊富だったため、それで乗り切るのかなー、なんてぼんやり思っていました。

なんかオチはもう見えてますが、はい。乗り切れませんでした。というのも、プロジェクトを仕上げるにあたって、逐一進捗を共有して、その都度調べ事やインタビューにより情報を仕入れる、目標を変更するなどで障害を乗り越えることが大前提となっております。つまるところ、継続した努力は必要条件なのです

いやまあ、大多数の人は「そんなこと当たり前では?」という顔をしていることでしょう。例に漏れず、今となっては私も余りの愚かさにため息が止まりません。無駄な成功体験により「自分なら何だかんだいけるでしょ?」という下らない自信が根を生やしていたのを覚えています。下らないプライドは捨てましょう。敗因その1。

また、弊チームはGold medalを目標として活動してきました。プロジェクトを仕上げることがそもそもの目標ではありますが、「このままではGoldに届かないのでは?」という恐怖がモチベーションとなり取り組んでいた部分も大きかったことと思います。そこで発動したのが、失敗を恐れない私の一面というわけです。

なんか就活で言ったら強みとして捉えてもらえそうな文言ですが、失敗を恐れないというのは「大局的に失敗するのを回避するために細かい失敗を厭わない」という意味であって、「失敗する悲しみと努力し続けるしんどさを秤にかけて前者を取る」という意味ではないんですよね。夏過ぎくらいから気持ちが「何だかんだ間に合うでしょ」と「まあ今年度は体制がきつかったなあ」を反復横跳びしてました。その気持ちを麻酔とし、自身の怠惰さで痛む心を鎮めてきました。本当にどうしようもないですね。

別に失敗すること自体をどう捉えようが自由だと思いますが、iGEMはあくまでチーム戦です。自分の働きがモロに他人に降りかかることになりますので、過度に恐れるくらいでもちょうどいいのかなと思います。敗因その2。

さいごに

今回の反省の中には、体制の不備やノウハウ、知識、人手の不足といったような、どうしようもない部分は正直多いと思います。今年の反省を活かしてチームを変えていくことが第一だとは思いますが、それでもやれることはまだまだあったなぁという後悔の念が止まりません。フルコミットしてGoldに届かなかったならまだ納得できますが、人生舐め太郎ムーブにより辛酸を嘗めたと思うとやるせなさに沈みます。自身一人が嘗めるならまだいいですが、メンバー全員に嘗めさせたことになってしまいました。こうなってから罪の重さを感じるのでは遅いので、個々人で出来る最大限を尽くし、悔いの残らない状態にしてください。本文で一番伝えたいことです。

皮肉にも、私はこの経験により今更モチベーションがMAXになりました。どこまでも愚か。

まだまだ悔いは吐露しきれていないのですが、全てをここに吐き出すにはこの空白は少なすぎるのでここらで一旦やめておきます。散文になってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。

また明日(!?)お会いしましょう。ではでは。